新しいオーディオ フォーマット Stems の公開まであと少し。Native Instruments は昨日、TRAKTOR PRO 2 と TRAKTOR KONTROL D2 を使うSTEMS ワークフロー ビデオ(ミキシング編)を公開しました。
ビデオではまず、Stemsフォーマットのファイルをロードします。するとKONTROL D2のスクリーンには4つのパート(ドラム・ベース・シンセ・ボーカル)の波形が表示されます。
KONTROL D2 の4本のフェーダーは各トラックが割り当てられており、ビデオ0;22 あたりから、一番左のフェーダー下げることによってドラムのサウンドがカットされます。続いてベースのサウンドがカットされボーカルのトラックだけが聞こえるようになります。
Stemsは4つの各チャンネルそれぞれにフィルター/エフェクターを掛けることができます。ビデオ4;46あたりではドラムサウンドのみにフィルターがかけられ、続いてボーカルにディレイエフェクトのようなものがかけられ、大きなブレイクが作られます。
ビデオ1;08 あたりからは別のトラックがミックスされ始め、ベースサウンド、そしてドラムサウンドが順々にスイッチされていきます。
最後はトラック2のシンセサウンド以外がカットされ、ビデオは終了します。
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Native Instruments TRAKTORの新しい機能STEM DECK。見た感じはごく普通のMP4ファイルではあるのですが、Stemsと名の付くこのファイルをTRAKTOR PRO 2にロードすると、4トラックに分けて再生することができるという新しい音楽フォーマットです。例えば、ドラムパートだけプレイをしたり、ボーカルパートだけにエフェクトをかけてみたり、ベースだけにEQをかけてみたり、又は、DECK A とBにそれぞれにStemファイルをロードすれば、ドラムパートはDeck A から、シンセパートはDeck B からなどなど、曲パートをスワップするなんてことも可能になるわけです。
Stemsの良いところは、Stemクリエーター・ツール(画像上)を使い、自分でもStemファイルを作れてしまうことです。つまりTRAKTOR DJのセッティングを使ってライブ演奏ができるようになるわけです。Ableton Liveで行うライブとは一味違ったライブパフォーマンスができそうな予感がします。
今日、公開されたStems公式ホームページには、Stemについての詳しい説明や仕様詳細が記されています。
Stemsファイルの作り方はごく簡単なようです。
- 自分のDAWソフトウェアで4つのパートのファイルと、ミックス・ファイルを一つ作る。(どのパートを抜き出すかは自分で考えることができるわけです)
- STEMクリエーター・ツールにこれら5つのファイルをインポートする。
- それぞれのSTEMに名前をつけたり、波形表示用の色を選択する。
- マスタートラックにコンプレッサーをかける。
- EXPORT!
- STEMファイルの完成。StemファイルをTRAKTOR PRO2 でロードする。
音質の方はそれぞれのステムが256kbps AACでエンコーディングされるようです。数字的にはアップルiTunesと同じクオリティとなるわけですが、4つのトラックを個別に出力し、それぞれにエフェクターやEQをかけていくことができることを考えれば、クオリティはiTunesよりも上であると考えて良いのでしょう。ファイルのサイズ的にはAACファイルが5つ分と考えて良いようです。
今の時点では、このStemsを操作できるコントローラはNI KONTROL D2、S8、F1 となっています。ちょっと忘れかけていたKONTROL F1が再び日の目を見ることは大歓迎です。
下のビデオはStemイントロダクションビデオと Stemクリエーター・ツールのイントロダクションビデオです。
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先々週アメリカ・マイアミで開催されていたWMCでのNIライブストリーミング・イベント、そこでスペインのアーティストUnerが使用していた謎の機材・・ということでたちまち話題になったコントローラの正体がコレ。Native Instruments が5月上旬にリリースする新しいDJコントローラKONTROL D2 です。
D2はオーディオ・インターフェイスや通常のDJミキサーの機能は持っておらず、むしろTRAKTORならではの DJパフォーマンス(フリーズモード、RemixDeck、StemDeck、ホットキュー)の操作に焦点を絞ったコントローラとなっているようです。
カラーディスプレイ、8つのパフォーマンスパッド、4つのフェーダー、タッチセンシティブ対応のノブを配し、D2一台でTRAKTORの2デッキまでのコントロールが可能。サイズ的にはフラッグシップ・コントローラKONTROL S8のおよそ4分の1位の大きさなのでしょうか?KONTROL S8 の端を切り取ったようなデザインに見受けられます。
S8は確かに素晴らしいコントローラで、一度体験してしまったらあのコックピット的な豪華な感触を忘れることはできません。しかし問題はやはりあのサイズで(もちろん価格もそうなのですが)、そりなりのギャランティーを得ることができるDJならばフライトケースにでも入れて持ち運ぶところなのでしょうが、私のようなブロガーともあるとKONTROL D2の方が持ち運びにも便利、愛用のオーディオインターフェイスも使える、クラブでのセットアップも楽チン、プレッシャーも少ない、色々な意味で許容しやすいコントローラな訳です。
しかしなんといっても注目は、このD2はマルチ・チャンネル・ミキシングを可能にするStemsオーディオ・ファイルに対応する第1号のハードウェアとなることです。本格対応は、2015年夏とのことではありますが、公式ホームページのStemsスナップショットを見る限り、かなり期待できそうな機能に見受けられます。
KONTROL D2
- フルカラーのディスプレイ (トラック波形の表示、ライブラリー表示、その他トラックに関する情報がポップアップ表示)
- タッチ・アンド・シー・ワークフロー(コンピューターの画面を見ることなくパフォーマンスに集中できるそう)
- タッチセンシティブ・ノブ (ノブに触るだけで対応するページがディスプレイに表示される)
- タッチ・ストリップ (ピッチベンド、トラックシーキング、スクラッチエミュレーション)
- Remix Deckに対応するパッド、フェーダー
- フリーズモード対応 (TRAKTOR DJ for iOSの人気機能)
- STEMS 対応 (マルチ・チャンネル・ミキシングを可能にするStemsファイルフォーマットの再生に対応)
- 折りたたみ式ラバーパッド(標準のDJセットアップの高さに調節可能)
- USBポート2基(コンピューターとの接続、2台のD2を連結)
- 電源スプリッターケーブル(一つの電源サプライから2台のD2に電源供給可能)
すでに大きな話題となっているSTEMSフォーマットへの対応は2015年夏からとのことです。
価格USドル499
2015年5月4日出荷開始
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Native Instruments のユーザーフォーラムでは、ごく稀にではあるのだがNIディベロッパーがユーザーからの質問に答える「On the Record」というスレッドがある。昨日、「Traktor On the Road」ではおよそ2年ぶりとなる書き込みが行われ、オフィシャル?アンオフィシャル?のようなアナウンスが行われた。http://www.native-instruments.com/forum/threads/questions-and-answers-fluky-ni-march-2015.235468/
個人的に注目したいニュースは2点。まず、Traktorの次のバージョンではパイオニアのCDJ-900NXSとXDJ-1000をサポートするとのこと。これによって、USBケーブルを使いコンピュータ(Traktor)とCDJを接続することによって、CDJをDJコントローラとして使うことができるようになる。
これまでにもCDJ最上機種へのサポートは行われてきたわけだが、HIDプロトコルを使うコーディングは私たちが思っているほど簡単な作業ではないらしく、それゆえに時間がかかってしまったようではあるが、ついにCDJ最新機種とTraktorを同時に使うことができるようになるという嬉しいニュースだ。
もう一つ、これはまだ詳細は全く明らかにされていないのだが、TraktorとMaschineの統合が実現するとのことだ。これまでにも同期信号を使い二つのソフトウェアを同時に走らせることは可能ではあったのだが、それを超える統合であることは確かだろう。どのような方法で?どのようなことができるようになるのか?大いに期待したい。二つのコントローラを同時に使った作業が可能になったりするのだろうか?
Native Instruments がTraktor Remix Sets の2014年のベストセラーを発表している。このRemix Sets はNI Traktor にRemix Deck という機能が装備された頃からリリースが始まったもので、Remix Deck にインポートするだけでリミックスプレイを楽しむことができるサウンドライブラリーだ。サンプルライブラリーといってもバラバラのサウンドファイルが羅列されているわけではなく、大概のものはキックパート+リズムパート+シンセパート+SFXパートのように分けられ、テンポも一定し、またそれぞれのパターンにはバリエーションが用意されているので、パートをランダムに並べ替えていけば一曲のトラックが作れてしまう。もちろんTraktorのエフェクターやピッチコントロールも使うことができる。NI のコントローラ KONTROL F1 やS8を使えばなおさら楽しいリミックスプレイとなる。
Remix Sets の制作には有名ダンスミュージックプロデューサーやサンプルライブラリーメーカーが関わっており、中には有名なテクノトラックのステムファイルが収録されている。価格的には1トラック300円〜といった設定になっているので、iTunesやBeatPortでMP3ファイルを1曲デジタルダウンロードするよりはやや高いという印象ではある。とはいえ、DJならばオリジナルのエディットバージョンをプレイしたいという人も多いはずだ。DJでなくてもこのような形で簡単にトラックを構築していく作業は楽しいものだ。
リリースされているRemix Sets の一覧を見てみると、まだそれほど多くのタイトルはない。この先もっと様々なアーティストが様々なトラックをRemix Sets としてリリースしてくれることを望んでいる。それにもしも日本のポップマーケットのアーティストであってもこのような形で新旧問わずトラックをリリースしたりしたのならなんて面白いことかと思う。もちろん著作権問題云々、そう簡単な話ではないことではあるのだろうが、CDが売れない音楽が売れない時代だからこそ、リミックスフリーという手段を使って音楽を広めていくのもアリのような気がしてならない。